そして、誰もいなくなった…

……いや。実際は、残った者がいたんですけどね。

何の話かって?

7月5日(土)・6日(日)に長野市のアゲインホールで開かれた市民演劇ユニット「thee」のお芝居「ハンバーガーヘブン」の話ですよーっ。

thee」の脚本・演出を手がける長峯さんは、わたしの事務所があるパブリックスペースOPENを一緒に立ち上げた仲間であり、物書きの先輩です。今まで何度かの短編作品を発表してきましたが、今回は満を持して長編作品&単独公演となりました。

 

ストーリー(ちょこっと意訳):人望は厚いがぼちぼち死ぬらしい、ひとりのヤクザ・セイジ。過去の失敗から逃れることができず、その元凶となった同じ組の仲間を殺そうと企んだ。しかし企みはあっけなく見破られ、絶望の中で死に突き進んで行く。はたしてその先に残されたのは……。

ストーリーは前半こそ笑いがあったものの、後半になるにつれ死に突き進んでシリアスな展開に。特に印象的だったのが、錯乱する中でケガをして横になっているハジメに重なり合ってわめいたり、歌ったり、何かを口走ったりしているシーン。わたしは、教会のパイプオルガンの重厚な音色を思い浮かべた。まるで天に懺悔をしているようで、あのシーンの凄みは、お芝居が終了した後も頭の奥にこびりついてしまった。

それともうひとつ。舞台の防音のゆるさが、また良かった。どこかから聞こえてくる音楽に少し耳を傾けながら、お芝居を見る。そこには「ハンバーガーヘブン」の世界のほかに、何かあちら側にも違う世界があるって思わせた。

後に長峯さんから、「創作の起点は餓死だった」と教えてもらった。大阪のマンションで女性が餓死したというニュースから、少しずつ死に向かう人、発見した人の気持ちを考えて構想を練っていき今回の作品になったそう。

平和ボケしている私たちのすぐそばで、事件に巻き込まれ、生活苦で……と、さまざまな理由で自分の意志に反して死と対峙しなければならない人がいる。その時の恐怖、無念、後悔……、最期に思い浮かべて発する言葉は何だろうか。約2時間のストーリーは、想像より激しく、重苦しいものだった。

これほどのストーリーに真っ向勝負した長峯さんと役者さんたち、本当にすごい。次回作も期待しています。